コールセンター生活14日目 デブの土田さん
研修担当でチームリーダーという役職の土田さんは、色々なことがすべて「度が過ぎて」いる。
土田さんは体重が重すぎる。
一体この人は何キロあるんだろう。こんなに太った女の人は今までの人生で見たことがないかもしれない。
しかも身長もそこそこ高いので、とにかく巨大だ。
マツコデラックスに近いと言っても良いかもしれない。
土田さんは、化粧が濃すぎる。
土田さんは、朝が弱いのか、いつも始業時間ギリギリに出社する。
でも毎朝メイクはバッチリだ。
マスカラ、つけまつげはバッチリだし、ファンデーション、チーク、口紅など、バッチリメイクでいつも登場する。
爪にはいつもよく手入れされたネイルアートが施されている。
しかもこんな太っているのにいわゆる「デブ臭」がしない。女子力が高いのだ。
しかし、西山さんいわく、この体格の良さと化粧の濃さからまるで「女子プロレスラー」のようだと言っていた。
土田さんは午前中に機嫌が悪すぎる。
こんなに太っているのにも関わらず低血圧なのか、とにかく午前中は機嫌が悪い。
ここの職場は午前中(といっても10時過ぎだが)に機嫌が悪い女性が多いような気がする。その中でも土田さんの機嫌の悪さはハンパない。
OJTの最中も、他のコミュニケーターに「それって言いがかりじゃないのか」と思うようなことを、すごい剣幕で問い詰めていたところを何度か見たことがある。
そして、僕が今日はその標的にされかけた。
受電をしている最中に、どうしてもわからないことがあったので、質問をするために手をあげたところ土田さんがやってきた。
正直、電話の向こうの相手が何を聞いているかすらわからないので、聞かれたことをそのまま土田さんに伝えた。すると
「〇〇のことは確認した?」
と言ってきた。
〇〇?それってなんだ?研修でやってないし、それは僕らの部署の領域じゃないぞ。と思い
「聞いてないです。」
と答えたところ
「いや、『聞いてない』ないじゃないよね?なんで確認しないの?それを確認しないとわかりっこないよね?大体さ・・・」
と食ってかかってきて長くなりそうだったので、
「わかりました」
と途中で遮って言ったところ
「あのさぁ、話は最後まで聞いてくれる?その件は〇〇を確認して、△△のオーダーを入れたかどうかを確認しないといけないからそれを言ってもらわないとわからないでしょ。聞いてきたことにこっちは答えてるんだから、最後まで聞いてくれないかな。それに・・・」
と、さらに長くなりそうになったので、これは相手をしているとキリがないと思い、
「わかりました」
とまた遮り、保留を解除して
「大変お待たせいたしました」
と受電に戻った。
すると、半分あきれたような顔をして、土田さんはどこかに行ってしまった。
ちなみに受電に入ってから土田さんに質問をしたのはこれが初めてだった。
これだから女は嫌いだと思ったが、果たしてこの巨大生命体は女というカテゴリの中に分類してよいのだろうか。
疑問だ。