今日、和田さんが突然こんなことを言ってきた。 「やっさんって結婚とかしないですか？」 僕はこいつに結婚してるともしていないとも一度も言った覚えはないのに、「結婚していない」という前提で話をしてきやがった。 「いいじゃん、別に。俺は一人が楽しい…

​受電に入って1ヶ月。そろそろ同期のみんなに疲れが見えてきた。 仕事のできる女の河田さんも、朝がつらいようで、不機嫌そうな顔で出社した。 僕個人的な考えでは、この仕事の一番つらいところは、クレームを受けることでも、難しいマニュアルを覚えること…

出社すると、管理者や質疑担当の人がなぜかわいわいしている。 ああ、そうか、昨日は飲み会だったのか、こっちの本体の方の。 結局、新人は誰もいかなかったようで、古株のみなさんのなれ合いの飲み会になったようだった。 高嶋がＯＪＴ担当だった大谷さんに…

「高嶋今日はいい情報を教えてやろう」 「え、なに？」 「俺らがいるあの空間には一人も社員もいないんだぞ」 「まじ？土田さんとか牧本さんとかくぼ姐も？」 「そう、みーーんな時給で働いてる契約社員。まあ、言わばバイトだ。バイトリーダーみたいなもん…

いつも僕は携帯を持ち歩いていないので、帰ってからメールを確認している。 するとSMSが入っていた。 「明日更新面談を行いますので、印鑑を持ってきてください。◯◯会社 小杉」 今日は出社して休憩時間などが出ているスケジュールを確認してみると、「更新面…

コールセンターは僕の家の近所にあるのだが、通勤する途中の道に桜の並木道がある。 その桜が段々と咲いてきて春らしくなってきた。 もうかなり外の気温も暖かくなってきて、出社する途中で桜を眺めながら歩けるのは気持ちがいい。 「こんなにいい季節なのに…

だんだん仕事にも慣れてきたら、今度は質疑担当や管理者たちの僕らに対する扱いが雑になってきた。 最初は質疑担当の人たちも僕らがサービス担当なのか、契約担当なのかすらわかっていなかったようで、質問したら契約の仕事をやらせてくることも多かった。 …

仕事に慣れてくると出てくるのが「不満」だ。 僕だって一人の人間だから不満に思うことだって色々ある。 この仕事での一番の不満はずっと「座りっぱなし」なことだ。 なんだそんなことか、と思う人も多いかもしれないが、ずっと座りっぱなしというのは、以前…

今日の受電中、回覧が回ってきた。 「〇月×日 最近やっていなかった飲み会を開催します。新人の皆さんの歓迎会も兼ねていますのでぜひ皆さんご参加ください。場所は目の前にあるさぬき屋です」 出席する人は名前の横に丸をつけることになっていた。 よりによ…

「和田さんと飲み会がしたいよねって話しててさ。交流会。」 今日はしっかりものの河田さんの隣の席で、電話がかかってきていない時間に突然こう言ってきた。 「そうなんだ。いいね。やろうよ。俺が場所をセッティングするよ」 「本当？ありがとう。」 普段…

今日はお休みだった。ここの日記ではお休みの日のことは飛ばして書いていたのだけど、今日はちょっとしたことがあったので書くことにした。 この日は4日ぶりのお休みだった。 コールセンターの仕事は残業とか休日出勤などがないので、基本的にしっかりとお休…

同期の西山さんはなんだか不思議な人だ。 おそらく30代後半くらいの年齢で、いつも頭にカチューシャをつけている。 スウェーデン人の旦那さんがいるということで、西山さん本人のファッションも北欧風といったら良いのだろうか。ちょっと独特な服装をしてい…

ここのコールセンターには２つの派遣会社が入っていて、それぞれ別々の島で仕事をしている。 業務内容はどうやら同じのようなのだが、この2つの島は場所は離れて仕事をしている。 しかし、向こうの島の人に転送をすることも割とよくあるので、まったく関わり…

転送ばかりして、しかもわからないことは聞きまくっているような状況とはいえ、かなり業務にも慣れてきた。 最初は問い合わせが入るたびにマニュアルをひっくり返して調べていたので、1つの問い合わせに対してものすごく時間がかかっていたが、慣れてしまう…

今日で実際の受電に入り5日目だ。 研修中はどうなることかと思ったが意外と今のところなんとかなっている。 なにせ、ほとんどが転送する案件だ。僕らの同期のチームで扱える案件はほとんどない。 この部署は3つの窓口から構成されていて、契約関係の手続きを…

朝、出社すると、和田さんと西山さんがなにやら話している。 「おはようございます。なんの話ですか？」 と西山さんに話しかけると、西山さんが 「あ、やっさんおはよう。なんかね、村上さん辞めたんだって」 村上さんというのは同期の一人で40代くらいの元…

今日出社したら、OJTの途中からずっと欠勤していたしっかり者ギャルの河田さんが出社していた。 「おはよう！今までどうしてたの！？」 「ぎっくり腰やっちゃってさ（笑）」 なるほど。こんなに仕事の出来る人が途中でやめるわけがないよなとは思っていたが…

研修担当でチームリーダーという役職の土田さんは、色々なことがすべて「度が過ぎて」いる。 土田さんは体重が重すぎる。 一体この人は何キロあるんだろう。こんなに太った女の人は今までの人生で見たことがないかもしれない。 しかも身長もそこそこ高いので…

高嶋の隣には阿部という禿げて目がギョロっとした感じのおっさんが座っていた。 ちょうど午後の仕事に入り、受電が落ち着き暇な時間だったので様子を見ていたのだが、土田さんが阿部さんのところに来ていて,なにやらヒートアップしたやり取りを繰り広げてい…

特に問題はなかった。 心配しすぎだったのかもしれない。 実際に受電に入ると大したことはなかった。 基本的に店舗スタッフとしか会話をしないので、クレームは基本的にないし、ほとんど転送する案件なので、聞き取りさえ間違わなければ問題になることはない…

​ １日の休みをはさんで、今日から実際の受電がはじまる。 高嶋は飲んでわめいてたことはあまり覚えてないようだった。 でも、高嶋に対しての自分の感情は以前とは違ったものになっていた。 ゲイの世界の出会いはその場限りのものが多く、非常に希薄な人間関…

この日は試験が終わったということで、高嶋と一緒にご飯を食べに行こうということになった。 思い返せばこの２週間、ずっとこいつと一緒にいる。 1日8時間同じ空間で仕事をして、昼は一緒にご飯を食べて、帰るときも一緒に帰っている。 社会人になってからこ…

この日は実際の受電に入れるかどうかの試験だ。 この日だけはまた全員そろって席に着いていた。 ただし、河田さんだけは今日も欠勤だった。 久しぶりにほぼ全員で近くの席に座っていたので朝から色々としゃべっていた。 研修期間は本当に楽だ。 意味不明に待…

土日の休みをはさんで、今日でＯＪＴ3日目だ。 はっきり言ってきちんと案内出来ている案件はほとんどないし、電話の相手が何を言っているかさっぱりわからない。 昨日の休憩中に皆と話していたが、みんなも同じようだ。こんなんで、実際に業務ができるのか、…

午後からの業務も相変わらずよくわからないものだった。 問い合わせの半分以上が転送する案件で、残りは研修でもやっていないが、答えなければいけない案件。 そして大半が、イレギュラーな案件で藤井さんもさらに上のSVに聞きに行っている。 その業務の中で…

午後からの業務がはじまり、和田さんの隣の席を見ると、たしかに気持ちの悪い小太りの30歳くらいの男が座っていた。 あれがストーカーか。 でも、和田さんの話を聞く限り、店に頻繁に来て、和田さんと話をして帰る程度なのでストーカーと言うのは少々可哀想…

相変わらず右も左もわからないような状態での午前のOJTが終わり、高嶋と昼休憩に行った。 今日はちょっと早く戻り、休憩室に戻ると、和田さんと西山さんが何やら話し込んでいる。 「本当に、どうしようって感じです。ストーカーにこんなところで会うなんて」…

なんとかOJT１日目が終わった。 モニタリングの段階で、薄々感じてはいたが、研修の意味なんてまったくなかった。 牧本さんが、やる気がないし、教える気がないように見えた理由がわかった。 まともに教えようとしたらとても2週間くらいで教えられる量ではな…

「とりあえずみんな3本ずつ取ったからここでお昼休憩ね。お疲れさま。午後は1時間自習したあと、また受電していくからね。」 藤井さんがそういうと、皆疲れた表情で立ち上がった。 特に西山さんと井口さんは疲労困憊の表情をしていた。 僕と、河田さんはコー…

目の前に座った人が来るなりいきなりでかい溜息をついた。 なんだか朝から相当疲れている雰囲気だ。見た目は30代半ばくらいで、子供が2人くらいいそうな雰囲気。なんだかやさぐれている。 その後その人は席から離れてどこかに行ったあと、また戻ってきてこう…