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コールセンター生活19日目 ロン毛くん

ここのコールセンターには2つの派遣会社が入っていて、それぞれ別々の島で仕事をしている。

業務内容はどうやら同じのようなのだが、この2つの島は場所は離れて仕事をしている。

しかし、向こうの島の人に転送をすることも割とよくあるので、まったく関わりがないというわけではない。


向こうのシマの人に転送するとなぜか男性のコミュニケーターが出ることが多いのだが、なぜかしゃべり方がねちょねちょしていて気持ち悪い人が多い。


高嶋と昼休憩の時にその話題になった。


「語尾がへんな感じで伸びてて、しかもおカマみたいなしゃべり方で出るから、転送するの時に吹き出しそうになるんだよ」

 

という高嶋本人のしゃべり方は逆に声が低くて男っぽいしゃべり方だ。若干ぶっきらぼうといってもおかしくない。


品質担当の関口さんにもその点を指摘されていて「語尾を上げて!」と指導されていた。


高嶋と関口さんは相性が悪いらしく、高嶋は「関口さんは細かいことにうるさいんだよ」と不機嫌そうだった。

「まあ、それがあの人の仕事だからしょうがないだろ」

となだめてもあまり納得はいってないようだ。

 

高嶋はこういうところがやっぱり若いな、と思う。相手の立場に立って考えるということがあまり出来ない。

 

高嶋はなんだかんだ変なところはあるが、いまどきの若い子なんだろうな。

自分もそれくらいの年齢の時はそんな感じだったし、自分より年上の人達立場で物事を考えることができなかった。

 

しかし、それにしてもここのコールセンターにいる人たちは、皆あまり余裕がない。

10年くらい前に勤めていたコールセンターでは、もっと暖かい雰囲気があったが、ここのコールセンターはかなり殺伐とした雰囲気だ。

 

特に管理者がひどい。

 

デブの土田さんや熟女キャバクラの林さんなどはまるで女王様のようなふるまいでコミュニケーターたちを下僕のように罵っている。

 

そんな状況で辞めない禿げの阿部や堂前は相当なMでそのプレイを楽しんでいるに違いないという結論に高嶋と僕は至っていた。

 

 

その日のその後の業務は相変わらず暇で、契約関係のチームの新人が口汚く罵倒されている様子をぼんやりと眺めながら過ごしていた。


僕らのサービス関連のチームは受電件数も少なく管理者側からするとあまり手がかからないためか今日から席を離して座らされていた。

そのため暇な時にしゃべることも出来ない。しょうがないので、真面目にマニュアルを勉強しながら一日を過ごした。


業務が終わったあとロッカールームに行くと、もう一つの派遣会社の島にいるロン毛の男の子がしゃべりかけてきた。


色々と話していると、僕が以前住んでいた地域の近くに住んでいるらしく、地元のトークでひとしきり盛り上がった。


多分20台前半くらいの子だと思うのだけど、この年代の子たちは年上に話しかけることを躊躇するということがないのだろうか?


今までの仕事柄、自分より若い子と話す機会があまりなかった自分としては、なんだか緊張してしまう。