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コールセンター生活27日目 契約更新

いつも僕は携帯を持ち歩いていないので、帰ってからメールを確認している。


するとSMSが入っていた。

「明日更新面談を行いますので、印鑑を持ってきてください。◯◯会社 小杉」


今日は出社して休憩時間などが出ているスケジュールを確認してみると、「更新面談」と書いてあった。

そうか、試用期間が終わってもう本採用になるのか。うまくいけば。


しばらく受電をしているといつも塚越さんの近くで事務作業している太ったおばさんが話しかけてきた。

「やっさん、今お時間大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です。」

「じゃあすみませんが、こちらにいらっしゃってください。お忙しいのにすみませんねえ」

なんだか妙にテンションが高い人だ。

休憩室に行く途中にある面談室に入る。

「すみませんねえ、お忙しいのに。最近はとても忙しいでしょう?」

「いえ、契約の皆さんは忙しそうですけど、サービスの僕はいたって暇です。」

「あ、そうですか?…まだやっさんは入ったばかりですし業務の範囲も狭かったかもしれませんね。どうぞこちらにおかけになってくださいね。」

狭い小部屋で小杉さんと向かい合わせに座る。

「やっさんはいつもニコニコ笑顔を絶やさず働いてくださって本当にありがとうございます。こちらとしては今後もぜひ!お仕事していただきたいなと思っているんですけど、やっさんとしてはいかがでしょうか?」

「もう、ぜひよろしくお願いします。」

とびきりの営業スマイルを僕は見せた。

「あら!それは嬉しいです!こちらこそよろしくお願いします。
2ヶ月近く働いてみていかがですか?何か困ったことなどありませんか?」


「いえ、もう…みなさんには本当に親切にしていただいてて何も不満などありません。」

嘘ばっかり。

「そうですか!どうもありがとうございます。
色々と大変だと思いますけどそう言ってくださって嬉しいです。
やっさんのいる空間には、時給制で働いてる社員ばかりなので、あの場所では色々とあると思いますが今後ともよろしくお願いしますね。」

ん?

「あそこには正社員はいないってことですか?」

「ええ、そうなんですよ。みんなやっさんと同じ契約社員という立場で働いてまして、正社員は私も含めまして3人ほどしかいないんです。…なので、あの場では色々とあって大変だと思いますけど、何かありましたらお気軽に私たちに相談してくださいね。」

…そういうことか。道理で、あの場で管理者と呼ばれる立場の人間が人件費のことを考えず、ゴミのように新しく入ってきた人間を扱っているわけだ。

ちょっとでも、人を使う側の人間になったら人件費というものが一番金を喰うものだということがわかるはずだし、人を雇うまでに莫大な費用がかかっていることを意識するはずだ。

あの場にいる管理者という名の「バイト」は、新入りのことをただただ邪魔な人間としか扱っていない。

まあ、それもしょうがないことだ。彼らだって自分の査定に何か関係するわけではないのだから。

「そうなんですか…じゃあ久保田さんとかもそうなんですか?」

くぼ姐だ。あの空間で一番エラい。

「ええ、そうなんですよ。彼はまだすごく若いんじゃないかしら。きっと25〜26くらいなんじゃないかしら」

これは多分このおばちゃんの時が止まっている。彼はどう見たって30前後だ。

「えー、そうなんですか。思ってたより若いんですね。ここは若い人が多いですよね。」

「そう見えて意外と魔女が多いんですよ。ウフフ。」

そうなのか?今のところ妙に老けている奴らばかりだが。

とりあえず無事契約更新ができたのであと3ヶ月はここにいることが出来そうだ。