コールセンター生活41日目 派遣会社のクズ
僕以外の同期のみんなは他の派遣会社から派遣されている。
なので、毎日退社するときに派遣会社に提出するための紙を余計に一枚提出してから帰っている。
なのでみんなは本当であれば今月末で終わりのはずなのだが、高嶋が今日突然こんなことを言ってきた。
「やっさん、俺、来月もちょっとだけ働くことになった」
「なんで?今月末で終わりじゃなかったの?」
「なんかさ、人手が足りないからお願いだから入ってくれってさ。あいつ、マジ調子いいんだって」
あいつというのは派遣会社の担当者のことだ。
そいつとは以前も高嶋はトラブっていて、必要な書類を渡し忘れたとかで、わざわざ5駅離れた派遣会社のビルまで書類を取りに行かされていた。
「ほんとさ、高田ヤバいよね」
河田さんも同調する。高田というのはその派遣会社のやつのことだ。
「私もさ、一番最初の研修の午前中にいきなり電話がかかってきて、『今日の午後から研修なんですけど行けますか』って言われてさ。空いてたから良かったようなものの、それで行けなかったら私ここで働けなかったんだよ。」
河田さんもかなりそいつには不満があるようだ。
「私も、その日研修の1時間前にいきなり高田から電話がかかってきて「1時間後なんですけど行けますか」って言われて。行けねーし、と思ったけど頑張って行ったんだよ。結局遅れちゃったんだけど。」
和田さんもとんでもない被害にあっている。
みんなの話を聞く限り、相当いい加減な奴のようだ。
この日の午後、和田さんが業務中に呼び出しをされて結構長いこと中座していた。
戻ってきたときに聞いてみた。
「なにを話してたの?」
「・・・ほんと・・・マジ高田ありえない。」
どうやら和田さんも今月いっぱいで契約が終了だったはずなのに引き留められたようだ。
「なんか、高田が契約期間を間違えて登録してたみたいで、私が来月末までの契約になってたんです。。。
それで、『私、そんなこと聞いてない』って言ったんだけど、塚越さんが『いや、契約上あなたはまだ辞めてはいけない』とか言ってきて・・・『私、この仕事本当に嫌なんです。契約満了の日までをカウントダウンしてるくらい嫌なんです』とまで言ったのに・・・二人で部屋に閉じ込められて逃げ出せなくて・・・結局来月いっぱいまでいることになっちゃいました・・・。」
和田さんはもう半泣きだ。
あの塚越ってやつは一見頼りなさそうに見えて意外と押しが強い一面もあるんだな。
「そうなんだ。・・・まあ、俺的にはあと一ヶ月一緒に働いてくれる同期がいてくれるのは本当に心強いけどね」
とは言ったものの、和田さんは
「もう、本当にこの仕事嫌なんです。実は次の仕事ももう決まっていたのに・・・断らなくちゃいけない・・・。」
と意気消沈していた。